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被相続人が亡くなると、被相続人の財産は相続人に移転し、相続人が複数いる場合には、遺産は相続人の共有となります。
この共有となっている状態を解消するのが、遺産分割協議です。つまり、誰がどの財産を相続するか具体的に決めるため、相続人全員で話し合いをすることになります。
「相続人全員」ですので、相続人のうち一人でも欠けていたり、相続人以外の者を加えて行った遺産分割協議は、無効となります。
共同相続人は、被相続人が遺言により分割を禁じた場合を除き、いつでも、協議で遺産分割をすることができるとされています。しかし、いつでも遺産分割協議ができるからといって、遺産分割協議をしないまま放置すると、遺産の共有状態が解消されず、遺産を有効利用することができません。
また、相続税がかかる対象になる場合は、相続税の申告期限内(またはそれから3年以内)に遺産が分割されていないと、相続税の優遇規定(相続税額の減額につながる規定)が受けられない事態になります。できるだけ早期の遺産分割を行うように留意したほうがよいでしょう。
なお、遺産分割の話し合いがつかないときは、家庭裁判所に遺産分割の調停の申立てをすることができ、調停が不成立となった場合には、審判手続に移行します。
民法では、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」と規定されています。
つまり、遺産と各相続人の事情を考慮した適切な遺産分割をするように、ということです。
ただし、遺言書を見つけても、すぐに開封してはいけません!
「公正証書遺言」以外の遺言の保管者又は発見者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、遺言書を家庭裁判所に提出して、「検認」手続きを受けなければなりません。また、封印してある遺言書の場合、相続人又はその代理人の立会いのもと、開封も家庭裁判所で行います。
検認手続きを怠ると、5万円以下の過料に処せられます。遺言書は、被相続人の最後の意思表示であり、原則として尊重されなくてはなりませんが、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる遺産分割をすることもできます。
遺言書がある場合とない場合で、次のような分割のケースが考えられます。
遺産分割協議が成立すると、通常は遺産分割協議書を作成しますが、作成しないからといって、分割協議が無効になるわけではありません。
しかし、遺産分割協議書が作成されていないと、不動産や預貯金などの名義変更手続き等ができませんし、後日における紛争防止のためにも、「遺産分割協議書」として書面化しておくことが望ましいです。
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